VMware vSphereエンタープライズ・インテグレーション
伊藤忠テクノソリューションズ 著 翔泳社
4,410円(税込) 2010年10月 発行 ISBN 978-4-7981-2236-6
VMware HA の要件
・共有データストア
VMware HA を利用するためには共有ストレージが必要です。クラスタ内のVMware ESXは共有ストレージに作成されたデータストア内の仮想マシンファイル群を読み込み、起動しています。
・ハートビート用ネットワーク
フェイルオーバーのシナリオを詳しく見ていきましょう(図1)VCenterはVMware HAクラスタにホストを追加/設定するさいにホストのサービスコンソール経由で通信を行います。設定後は、VMware HAの動作上VCenterは関与していないため、仮にVCenterが停止していてもVMware HAは問題なく動作します。(図1①)
クラスタ内のホストはサービスコンソールポートでハートビート交換を行っています(図1②)。ESX2はESX1からのハートビートが受信できなくなった状態です。このクラスタ内には2台しかホストが存在しません。
・ゲートウェイ、名前解決
ESX2のアップリンクに障害があるとすれば、ESX1が生きており、ESX1はESX2のハートビートが受信できない「隔離状態」かもしれません。この可能性を排除するためにESX2はサービスコンソールのゲートウェイにpingを実行し、自分自身が隔離状態でないことを確認します。(図1③)
1. ESX1ホスト障害
ホスト障害と共に全ての仮想マシンは停止。共有データストア上の仮想マシンのロックが外れているため、他のホストから仮想マシンが安全に起動できる状態です。
2. ESX1隔離状態
実際にはESX1は起動しており、仮想マシンも実行し続けていますが、サービスコンソールの疎通が切れたために、ハートビートが受信できず、ゲートウェイにもping疎通が取れない隔離状態です。この場合、VMware HAのホスト隔離時の対応設定に従い処理を行います。設定は以下の3通りです。
・パワーオンのまま
・パワーオフ
・シャットダウン
「シャットダウン」または「パワーオフ」の場合は、仮想マシンを停止し、共有データストアのロックを解除、他のホストから仮想マシンが起動できるようにします。「パワーオンのまま」を選択した場合は、仮想マシンは実行し続けるため、データストア上のロックは解除されず、他のホストから2重起動されることはありません。ESX2は、ESX1のホストで起動していたマシンの起動を試みます。(図1⑤)ロックされていない場合は、起動を実行します。
・仮想スイッチの条件
これまでのところで、VMware HAでは、クォラムディスクなどの仕組みでフェイルオーバーするのではなく、サービスコンソールのハートビートを元にフェイルオーバーを判断、または隔離状態の検知をしていることがお分かりいただけたでしょうか。このため、サービスコンソールには仮想スイッチのチーミングなど、十分な可用性対策が必要です。
また、仮想マシンがフェイルオーバーする可能性のあるクラスタ内のホストには、クラスタ内の全ての仮想マシンが使用するポートグループが設定されている必要があります。VMkernelポートは使用しないものの、クラスタ内ホストの仮想スイッチは共通設計であることを確認して下さい。ホスト隔離時の検知にpingを送信する相手として、デフォルトで設定されるため、サービスコンソールのデフォルトゲートウェイはpingに応答する必要があることも注意点です。
図1

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